本展示についてご提出いただいた展示物実施報告書から活用例を抜粋して共有いたします。
■展示期間:2025年7月7日(月)~11月30日(日)
■展示物に対する入場者の反響
・当館ではエントランスホールの一角に本展示を設置した。館内に入って最初の「さわれる」展示であったことで、来館者の多くが手を伸ばして触れ、抱っこしてくれた。中でも子連れのお客様は、子がふれた石について親が説明パネルを読んで教える様子や、子が抱っこした姿を写真撮影する様子が多く見られた。また大人だけでご来館されたお客様も、説明パネルを読みながらじっくりと観察する様子や、隣接する解説コーナーにいる解説員が質問されることもあった。
・解説員に質問したお客様は、「かわいい展示ですね」と見た目から興味を持ってくれた方が多く、そこから話が弾んで石についてもより深く知っていただくことにつながった。また石についての知識を持つお客様には「どこが違うの」「どうしてできたの」という理解を深めたいという質問が多くあった。解説員が答えられる場合や、解説パネルを読んでもらう場合、また学芸員が呼ばれて説明する場合と、お客様の興味や知識に応じてお答えした。
・当館で同時期に行っていた企画展「美しい石材のセカイ」と、クローズアップ展示「エピ閃長岩」が、花崗岩と関連の深い展示となっていたため、それぞれの展示が理解を深めるのに役立った。両展示に協力いただいた関係者も、「世界一新しい花崗岩」には驚く方がほとんどで、もっと広く周知したいという声を多くいただいた。
■展示物に対する意見・感想、展示についての工夫
・当館では花崗岩ベイビーと木箱を館内エントランスホールにあるベンチの上で展示した。床から少し高い場所であるため、子供が触れにくいかと当初心配したが実際は特に問題なく、目線に近い位置に標本があったためむしろ触れてもらいやすくなったのではないかと思う。
・説明パネルはその背後の壁面にA3サイズで計4枚(スライド1,3,5,6頁目)を配置した。その他のパネルについては壁面だとスペースが足りないため、A4サイズに印刷、ラミネートし、展示脇に配置して手に取ってみてもらえるような形にした。
・追加のパネルとして、「タイトルパネル(縮小版)」「花崗岩ベイビーをだっこしてみてね」といった展示スペースに合わせた目につきやすい表示を作成した。またベンチの背面に常設展示されていた球顆閃緑岩を「閃緑岩グランマ」として本展示に参加させる説明パネルと、それぞれの年代関係がわかる「年表パネル」も作成した。
・石について知識のないお客様でも、岩石をキャラクターとしてみることができる、興味の入り口として大変良い展示であると感じた。また展示についての解説資料も揃っており、興味を追求しやすい形になっていると思う。一方で、花崗岩ベイビーにはふれたけれど、なにかわからないまま去ってしまう人も一定数いたように感じた。本展示の武器である「世界一」の花崗岩が「日本で」見つかったという部分をインパクトとして残せるディスプレイがあると展示の魅力がさらに増すと思う。
